冬を溶かす、皇帝の羊。―マシャールの「宮廷マトン」で温まる2月

2月の冷えは、ただ寒いだけではありません。

肩がすくみ、呼吸が浅くなり、仕事や家事の「残り」が身体に居座る。
湯船に浸かっても、どこか芯がほどけない――――

そんな冬の終盤に必要なのは、刺激の強さではなく、静かに体温を戻す食事です。
マシャールがこの季節に提案したいのは、羊(マトン)の宮廷料理。

羊は旨みが深く、滋養がある。
けれど扱いを誤れば、重く、クセが前に出る。
だからこそ、料理人の技術が一番はっきり出る食材でもあります。

フセインシェフが大切にするのは、羊の「強さ」を押しつけないこと。
仕込みの要となるニンニクとショウガのペーストを丁寧に炒め、香りを立たせてからスパイスの層を重ねていく―――

その手順が、食後の軽さにつながります。

マシャールの特徴「毎日食べられる、胃もたれしない、しかし格調高い宮廷料理」が、もっとも端的に伝わるのが、この羊です。

1) 皇帝の名を冠した、格調の一皿

マトンジャハーンギリーコールマー(2,400円)

「ジャハーンギリー」――
ムガル帝国第4代皇帝ジャハーンギールの名をまとった宮廷料理。
名前負けのしない「格」があります。

このコールマーは、唐辛子の辛味で押すタイプではありません。
主役は、白いとろみとコク、そして香りの重なり。

カシューナッツやマガス(メロンシード)をペーストにし、生クリームやギー(インドバター)で「クリームシチューのような」上質な滑らかさを作ります。

そこへスパイスが静かに効いて、口の中で時間差に表情が変わる。
甘い香気、焙煎香、ナッツの余韻。
羊の旨みは「重さ」ではなく、芯として残ります。

さらに、トッピングには「マカナー」(蓮の種を爆ぜたもの)
軽い食感がアクセントになり、混ぜながら食べるほどに、コールマーの奥行きがほどけていきます。

食べ終えた後に残るのは、満足と静かな温かさ。
こういう一皿に出会うと、日本でひとまとめに呼びがちな「カレー」という言葉の枠が、少し窮屈に感じられるはずです。

ここにあるのは「コールマー」という、宮廷の完成形です。

2) 密閉して蒸らす、香りの完成形

マトンダムビリヤーニー(M 2,400円)

マシャールでビリヤーニーを頼む理由は、量ではありません。
香りと温度、その設計にあります。

鍵となるのが、ダム製法(密閉して蒸らす)。
スパイス、肉の旨み、バスマティーライスの香りを、ひとつの完成形にまとめ上げます。

ビリヤーニーは、素材の主張がぶつかりやすい料理です。
スパイスが前に出過ぎれば輪郭だけが残り、肉が勝てば重くなる。
ライスが弱ければ、ただの混ぜご飯に落ちる。

ダム製法は、そのバランスを熱と蒸気の中で整え、香りを閉じ込める技術。
ふたを開けた瞬間に立ち上がる湯気は、派手な演出ではなく、仕込みと火入れの結果です。

さらにマシャールのダムビリヤーニーには、「壺」ならではの良さがあります。

素焼きの壺が持つ保温性で、最後まで温かいまま食べられること。
フセインシェフが言うように、壺の香りがバスマティーライスにふっと移り、味わいを引き立てること。

そして蓋になっているナーン生地。
ビリヤーニーの香りを吸い込み、オーブンで焼き上げることで、タンドール窯のナーンとは違う――しっとり、香りの良いパンになります。

「ご飯の料理」に見えて、香りと温度の立体感まで含めて完成する。
それが、宮廷のビリヤーニーです。

3) 羊は、ひとつの味では終わらない

羊の魅力は濃厚さだけではありません。

青菜と合わせて香りをほどくサーグマトン
スパイスの輪郭を立たせるマトンマサーラー

「良いものを少しだけ」という大人の気分の日でも、マシャールの羊は選びやすいはずです。

4) お一人様にも、ちょうどいい選び方

最後に、迷ったときの選び方だけ。

  • 格調ある一皿で整えたい → マトンジャハーンギリーコールマー
  • 香りの完成形を体験したい → マトンダムビリヤーニー

また、お一人様で「ダムビリヤーニーMサイズは少し多いかも…」という方には、ビリヤーニープレートで、マトンジャハーンギリーコールマーを選ぶのもおすすめです。

マシャール自慢のタンドール料理とミニサラダまで楽しめて、「一人で大満足」の着地になります。

お一人様でも、誰かとでも

2月は、冬の終わりが見えそうで、まだ寒い。
だからこそ、食事で体温を取り戻す夜を。

派手に主張するのではなく、食後に「来てよかった」を残す。
マシャールの羊は、そのための宮廷料理です。


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