三寒四温。
冷え込む朝があれば、春めく昼もある。
寒さと温もりが行き来する季節は、景色が美しい反面、からだにとっては小さな負荷が重なりやすい時期でもあります。
眠りが浅くなったり、手足の冷えを感じたり、食欲がいつもより揺れたり。
だからこそ、無理に頑張るのではなく、日々の食事で静かに整えていく。
そんな発想が、宮廷の台所にも受け継がれてきました。
1.香りは、食べる前から整う
スパイスを挽くときの、さらり、という音。
鍋肌に触れた瞬間に立ち上がる湯気。
香りは舌より先に、私たちの呼吸へ届きます。
ひと息吸い込むだけで肩が落ち、気持ちがほどけることがあるのは、香りが心身の緊張をやさしくほどくからかもしれません。
マシャールが大切にしているのは、強さではなく静かな効き方です。
2.温める、巡らせる、軽くする
スパイスは刺激で押し切るものではなく、からだの内側に灯をともすように使うほど、やさしく働きます。
- 生姜やシナモンの温もりは、冷えたからだをゆっくりほどく一助に
- 黒胡椒の凛とした輪郭は、巡りの背中をそっと押すように
- クミンやコリアンダーの土の香りは、食後の重さを残しにくい設計へ
- ターメリックの穏やかなほろ苦さは、日々の健やかさを支える相棒として
どれも「効かせる」より、「寄り添う」。
そう捉えると、香りはぐっと身近になります。
3.火加減と配列が、胃の軽さをつくる
香りは、ただ混ぜれば立つものではありません。
乾煎りの温度、油に移す時間、鍋肌に当てる一瞬。
ほんの少しの差で、甘い立ち上がりにも、鋭い余韻にも変わります。
マシャールでは、香りが強すぎて疲れないように、必要な輪郭だけを残し、角は丸く仕上げます。
格調高く、それでいて毎日食べられる軽やかさへ。
胃もたれしない宮廷料理という約束は、火の作法と配列の積み重ねでもあります。
4.翌朝の体調まで想い描く、フセインシェフの調合
宮廷料理という言葉に、濃厚さや重さを連想される方もいらっしゃいます。
けれど私たちが目指すのは、食後に深く満ちて、翌朝はすっと起きられるような一皿です。
そのためにフセインシェフは、味の強さではなく香りの流れを設計します。
最初に立ち上がる華やぎ、口の中でほどける奥行き、飲み込んだ後に残る静かな余韻。
脂や塩気で押すのではなく、スパイスの配列で満足をつくる。
だからこそ、重たさを残さず、記憶に残る。
皿の向こう側にいるお客様の一日を想い、食後の軽さと翌朝の体調までを想い描きながら、調合は日々細やかに変わっていきます。
5.大切な人を想う季節へ
3月は、ホワイトデーや送別会など、誰かを想う予定が増える頃。
言葉にしきれない感謝や労いを、食卓に託したくなる季節でもあります。
にぎやかな集いも、静かな二人の時間も、香りが整うと会話の間合いが美しくなります。
マシャール(=松明)は、そうした時間の背景として、そっと寄り添える場所でありたいと考えています。
季節の変わり目に、香りの知恵をひとつ。
今日のからだに無理をさせず、明日の軽やかさへつなぐために。
3月の華やかな集いの季節にも、皆さまの心強い拠り所でありたいと思います。
▼お席のご予約はこちら▼
