【インド米】バスマティライスとは?炊き方も解説

インディカ米の女王、バスマティライス。
Mashalの看板メニューであるビリヤニも、バスマティなしでは始まりません。
今日はそのバスマティライスの特長、炊き方とレシピをご紹介します。

<本記事でわかること>

  • バスマティライスの特徴がわかる
  • バスマティライスの美味しい炊き方がわかる

執筆者

ましお さくら
20世紀末にヒンディー語を習得。ムンバイに住んでみるため2006年にふらふらっと渡印、8年にわたり居座る。
その間、幸か不幸か、師と仰ぐ柴原三貴子がアリ三貴子になった瞬間をカラチにて目撃。
まさか同い年の子を持つ母友になるなんて、と運命に翻弄されるうちに子育て期間も終了、現在は千葉県で昼寝のあいまに翻訳をして暮らしている。

1:バスマティライスとはどんなお米?


バスマティライスは、インド北部とパキスタンで古くから生産されてきたインディカ米(長粒種)の一品種です。

細長く丸みのない形のお米で、その独特の芳香から、「香りのよい種類」を意味する「バースマティー(日本語発音はバスマティ)」という名で呼ばれています。

その名の示すとおり、炊き上げる際には独特の香りが漂います。

日本からインドの空港に降り立つと「インドの匂いがする……」とよく言われますが、その匂いの中にはこの香りの女王、バスマティライスの匂いも含まれているのかもしれません。

インド産バスマティ米は世界の全生産高のうち、実に75%を占めています。
最も長い品種では長さが2cmを超えることもある、「世界で一番長い」お米です。

また、実はこのバスマティライス、血糖値上昇の目安となる「グリセミック指数(GI値)」がとても低い優秀な低糖質食材として、世界中の健康志向の人々から熱い視線を浴びているのです。

日本米が90近い数値であるのに対し、バスマティライスは50ほど。
健康食品として古来より信頼される玄米並みの数値なのです。

2:日本米とバスマティライス米の違い


丸っこく、水分と糖分を多く含んでいるのが日本米の特徴です。
対して、細長く、水分と糖分をあまり含まない代わりにひときわ華やかな香りを持つバスマティ米です。

同じお米と言っても、その特徴はとても対照的です。

炊き上がるとしっとりと粘り気を持つ日本米に対し、バスマティライスは粒どうしがくっつかず、ふわふわ軽い炊き上がり。

大盛りのビリヤニを完食しても胃もたれひとつしないのは、前述のGI値の話に加え、この軽さのおかげもあるんですね。

また、インドでお米を買いに行ってビックリしたのは、古米が喜ばれ、新米は重宝されない、ということ。

聞けば、新米は粘り気があって炊き上がりがパラパラにならないためインドでは人気がなく、収穫から2年ほど乾燥、熟成させたものが好まれるのだそう。

また、バスマティ特有の香りも熟成に年月をかけるほど際立つため、香りの少ない新米よりも香り高い古米が選ばれる、ということなんですね。

秋になれば店頭に並ぶ新米をこぞって買いに行く日本とは正反対の食文化に、ずいぶんと驚かされたものでした。

3:バスマティライスの入手方法


日本では一般的な食材とは言えないバスマティ米ですが、「バスマティライス」と検索すればズラリと商品写真が並ぶ昨今、通販でなら簡単に入手できます。

ただし、古米が喜ばれるとは言っても、収穫から数年経過しているものは虫の発生なども危ぶまれるため、信頼のできる店舗やサイトから、賞味期限に気をつけて買ってください。

収穫からの熟成期間は2年以内が目安です。

4:美味しいバスマティライスの炊き方


基本的に、研がずに軽く濯ぐだけ、という点以外に日本米と炊き方が異なる点はありません。

炊飯器で炊く場合の水加減も、いつもの日本米と同じです。

インドでは「フワッフワのパラッパラで」「絶対に粒どうしがくっつかない」炊き方が好まれます。
炊飯器で炊いても十分おいしいバスマティがいただけるのですが、ここではインド式の炊き方、もとい「茹で方」をご紹介します。

4−1:【洗う】

2~3回軽くすすいで、不純物や余分な澱粉を洗い流します。(日本米を研ぐときのように水が透明になるまで何度も洗う必要はありません。)
この作業で、よりフワフワの軽い食感に炊き上がります。
※日本米と比べて細くもろいので、力を入れて研がないよう注意。

4−2:【水につける】

30分ほど、水につけておきます。

4−3:【茹でる】

1) 適量の水を沸かします。野菜や芋を茹でるときと同じように、「茹でこぼす」水なので、計量の必要はありません。
茹でるときと同じ感覚で、中のお米がしっかりお湯をかぶる程度の水があればOK。
 
2) 完全に沸騰したら、洗ったお米をザバッと投入。
ここで塩をひとつまみ入れる、シナモンはたまたギーを入れる、などなど、お好みに合わせてさまざまな遊びができます。
レモン果汁やココナッツオイルを小さじ1杯ほど入れると、炊き上がったあとに粒どうしがくっつかず、パラパラに仕上がります。

3) 吹きこぼれないよう火加減を調整しながら、7~10分ほど茹でたら、何粒か手に取って茹で加減を見てください。
よく火が通っているのが確認できたらザルに上げ、しっかり水分を切ります。
長時間茹ですぎるよりはちょっとぐらい芯があるくらいの方が○。
フワッフワのバスマティライスの完成です。

5:バスマティライスで作るチキンビリヤニ

5−1:【準備するもの&チキンの下ごしらえ】

*鶏むね肉(400~500g)⇦食べやすい大きさに切っておく
*ヨーグルト(大さじ3)
*しょうがのすりおろし(大さじ1)
*ニンニクのすりおろし(大さじ1)
*ビリヤニマサラ、またはガラムマサラ(大さじ半~1)
*塩(小さじ半~1)
*ターメリックパウダー(小さじ4分の1)
*レッドチリパウダー(小さじ4分の1、辛さが苦手なら省略可)

上記の材料を全てボウルに入れ、手でよく混ぜ合わせます。ふたをして、1時間ほどおいてください。

5−2:【バスマティを濯ぐ】

バスマティライス2合をすすいで洗い、水に浸けておきます。
30分ほど経ったらザルに上げて水を落とします。

5−3:【ホールスパイスを用意する】

無理にマニアックな素材を揃えなくても、きちんとおいしくできあがってくれるので大丈夫。
難しく考えず、手に入りやすいスパイスで作ってみましょう。

ビリヤニ用の基本ホールスパイスは以下:
*カルダモン(3~5粒)
*クローブ(7粒)
*クミンシード(小さじ半分くらい)
*シナモン(3cm ぐらいを1かけ)
*ベイリーフ(1枚)
*八角(半かけ~1個)
*メース(少々)

5−4:【玉ねぎをスライスする】

大きめなら半分、小さめなら1個丸ごと、薄切りにしておきます。

さて、下準備は終わりました。ここから舞台は、厚底のシチュー鍋に移ります。お米を入れて炊き上がる最後までこの鍋で進むので、できるだけ大きめのものを選びましょう。

5−5:【チキンのグレイヴィーを作る】

1) 鍋にオイルを敷き、弱火で温めます。クミンシードを一粒入れてみて、チリチリと小さな泡が立ったら温まったサイン。
※熱しすぎると焦げてしまうのでお気をつけてください。

2) 温まった油に用意したホールスパイスを投入。油にジュワジュワとスパイスの香りが染み出します。

3) 1分ほど油でスパイスを煮出したら、スライスしておいた玉ねぎを投入。
弱火のまま、飴色になるまでじっくり炒めます(辛党さんはここで縦に切り込みを入れた青唐辛子を入れると、ピリリとした辛味が加わります)。

4) 玉ねぎがしっかり色づいたら、つけおきしておいたチキンを投入。色が白っぽくなるまで、5分ほど中火でよく炒めます。

5) ソースを味見してみて、塩加減を調整します。

6) 以下の調味料を投入。弱めの火加減で温めながら、ムラがなくなるようによく混ぜ合わせます。
*ビリヤニマサラ、またはガラムマサラ(小さじ1)
*レッドチリパウダー(小さじ4分の1、辛さが苦手なら省略可)
*ヨーグルト(大さじ3)

7) 後でご飯を炊く段階でまた火を通すので、ここでチキンに完全に火が通る必要はありません。
よく混ざったら火を止め、平らに均します。鍋の片側に偏っていたりしなければOK。

5−6:【炊き上げる】

1) 洗って水を切ったバスマティ米をチキンの上に入れます。米でチキンを覆い隠す感じ。

2) ボウルに水を3カップ、塩を小さじ半分ほど入れ、よく混ぜて塩水を作ります。少し塩味を感じるぐらいでOK。

3) できた塩水を1カップすくい取り、チキンと米の入った鍋の周囲に沿って回し入れます。これを2回くり返します。残りの1カップの塩水は、真ん中に注ぎ入れます。

4) 蓋をして、沸くまでは強火で、沸いたら中火に落として、10分ほど炊き上げて完成!

焦げないように気をつけて、火が通ったらよく混ぜ、熱々のうちにいただきましょう。

生野菜とヨーグルトを和えたサラダ、ライタとの相性は抜群です。

6:まとめ

日本米とは好対照の特徴を持つバスマティライス。
甘みの強い日本米に慣れ親しんだ舌には、はじめは物足りなく思えるかもしれませんが、インド料理との相性で言えばバスマティの右に出る米はありません。

インド料理をいただく時にライスからあの香りがしないと、もやもやと物足りなさが募ってしまうようになるのに、そう時間はかからないでしょう。

みなさんも次にインド料理をいただくときには、短時間で火が通り、血糖値に優しいこの香りの女王をぜひお試しください。