「インドの主食は何?」をインド料理のプロが解説!

インド料理と言えば、「カレーとナンを」思い浮かべる方は多いのではないでしょうか?

実際に日本でインド料理店に行くとナンは必ずといっていいほどあります。
そんな理由から、ナンはインド人の主食と思っている方は多いです。

しかし、実際はというと、デリーやウッタルプラデーシュ州の農村に暮らしていた私は、インドで日本のような白い小麦粉のナンを食べた記憶がほとんどないのです。

それでは、インド人が日常的に食しているものは何でしょうか?

本記事では、「インド人は普段からナンを食べているのか?」から地域別のインド人の主食事情について解説いたします。


 この記事を読むとわかること

  • インド人が普段食べているものがわかる
  • 地域別のインドの主食がわかる

1.インドの主食はナンではなくチャパティ

インドで一般的に食べられているのは、チャパティです。

もっと正確にいうと、家庭でチャパティがよく食べられているのは、インドの中でも北インド地域になります。

なぜ、ナンではなくチャパティがインドの家庭で普及しているか?

それは、ナンを焼く際は、タンドール釜が必要になりますが、一般家庭には普及していないこと。

精製した薄力粉をインドの家庭ではあまり使わないというのが、主な理由です。

実際にインドでは、高級ホテルや大きなレストランに行かないと、ナンを食べることはできません。

一方でチャパティは、原材料がアーターと呼ばれる小麦の薄皮も一緒にひいた全粒粉という安価な茶色い小麦粉で、調理も手軽にフライパンで焼くことができるため、主食として広く食べられているのです。

 

2.北インドのいろいろな主食

北インドは小麦と米の両方がとれるので、どちらも食卓にのぼります。

特にパン類のバリエーションは豊富にありますので、ご紹介します。

2-1.家庭でつくるいろいろなパン料理

●ロティ(ローティー)

チャパティと同じアタ(アーター)を使ったパンとしては、ロティもよく食べられています。

ベーキングパウダーやイーストなどを使わず、全粒粉と塩、水で練っただけの生地を伸ばして、フライパンで焼くだけのシンプルなパンです。かなり厚手のチャパティという感じの食べ応えのあるパンです。

●パラタ(パラーター)

朝食の定番、パラタには数種類あります。

生地にギーやオイルを練りこんで焼くパラタ。

チャパティの生地にスパイスで味付けしたマッシュのジャガイモやひき肉を包んで伸ばして焼くパラタ。

具を挟んで伸ばして焼くアールーパラタ(ジャガイモ入りパラタ)やキーマパラタ(ひき肉パラタ)があります。 

●プーリー

プーリーは、チャパーティーの生地を油で揚げたパンです。セモリナ粉をほんの少し生地に加えるとサクっとして、つぶれにくいプーリーに仕上がります。

2-2.お店で買ういろいろなパン料理

パン類は外で買うのも一般的で、街のそこここに、パンを焼くタンドール窯だけが置いてある店がたくさんあります。家でサブジーやお肉料理を作り、外でパンを買ってきて、主食を作らない日もあります。

●タンドーリーロティ(タンドーリーローティー)

タンドーリーローティーは、一般的に売られているのはナンのように膨らんだ丸い形の茶色のパンです。

カミーリーローティーとも呼ばれます。

茶色くて丸いナンという感じで、結構塩がはっきり効いているので、お腹が空いているときはこれだけをつまんでも美味しいです。

●ルマリロティ(ルマーリーローティー・ルマールはハンカチという意味)

ルマーリーロティは、大きなドーム状のフライパンの上に、薄く伸ばした大きな生地を焼いたパンです。

●バトゥーラ

バトゥーラは、白くてふっくらした揚げパン(ナンに似た生地をフライした感じ)です。

●ハロワパラーター

ハロワパラーターは、油たっぷりのパラーターにハロワと呼ばれるオレンジ色の甘いものが挟まったパンです。

インドやパキスタンの朝食の定番で、外で新聞紙に包まれたハロワがサンドされたパラタを買ってきて、家で作ったチャーエ(チャイ)にしたして食べる人も多いです。

 

3.南インドのいろいろな主食

南インドは小麦があまりとれないので、主食のメインはお米です。

米粉や豆の粉を使った蒸しパンやクレープ状のもの、麺状のものなどバリエーション豊富です。

特にミールスが有名で、今ではミールスを出すお店が増えてきましたね。

バナナの葉に盛られたミールス(フセインシェフとマサラワーラーの食べさせられ放題にて)

 

ミールスとは、バナナの葉のお皿や、ステンレス製の大きなトレイの上に、カレーや豆、野菜、スープなどのおかずがたくさんのせられ、中央のご飯と一緒に混ぜながら食べる定食のような料理です。

基本おかわり自由で、おかずやご飯が入ったバケツを持ったお兄さんがおかわりを持って席を回っているスタイルです。

ミールスは肉や魚料理などを使ったメニューもありますが、南インドは宗教上、菜食主義の人も多いので、野菜や豆だけのお店も多くあります。

ちなみにこの時、同じ台所でお肉を扱わないのが基本です。

ミールス以外では、日本でもよく食べられるようになった、米粉と豆をミキサーにかけて、発酵させてから焼く薄いクレープのようなドーサやジャガイモの具をサンドしたマサラドーサがあります。

米と豆をフェヌグリークシードで発酵させた生地で焼くドーサ(Mashalインド料理レッスン)

また、米粉を発酵させて蒸したイドゥリーや、米粉と豆を発酵させた生地をドーナツ状に揚げてワダなども有名です。

 

4.北インドでも、南インドでも食べられるビリヤニ(ビルヤーニー)

ムンバイ風チキンビリヤニ

 

今はビリヤニブームで色々なお店で提供されていますが、以前はカレーと炊いたご飯を炒めたスパイス味のチャーハン的なものをビリヤニとして出すお店がほとんどでした。

ビリヤニは北インドから南インド、東インドまで各地方で具材も、炊き方も使うお米も様々で色々なビリヤニがあります。

北インドではラクナウやデリーのビリヤニが有名で、ビリヤニだけを大きな鍋で提供し、座るとビリヤニだけが出てくるお店もあります。ビリヤニについては改めて詳しくご紹介します。

 

5.まとめ

いかがだったでしょうか?

インド料理と言っても、地方によって食されているものは様々です。

気候の違いで採れる油や野菜などの違いや、海が近い、川が近いなどその土地の環境によってもお料理が異なるので、知れば知るほど、一概にこれこそがインド料理という限定はとても難しいことになってきます。

日本と同様に、地方出身者が都市に出て働けば、その土地の郷土料理を出すお店が登場し、他の地方にもその地方料理が広がり、さらに土地土地のアレンジが加わり、新しい料理が登場してくる。

そうやって今この瞬間にも、新しいレシピや露店メニューがインド各地、世界で広がり、インド料理という分野を広げていると考えるととても興味深いですね。