朝の支度を終え、そろそろ昼の献立が頭をよぎる頃でしょうか。
今日は少し、「お米」の話をさせてください。
日本人にとって、米は毎日そばにあるもの。
だからこそ、その世界がこれほど広いことに驚かれるかもしれません。
インドやパキスタンで何世紀も愛されてきたバスマティーライス。
ヒンディー語で「Bas(香りのある)」と「mati(たくさん)」──
「香りに満ちた米」を意味する、香り米の最高峰です。
香りの正体
バスマティーライスの真髄は、その芳香にあります。
炊き上がりの瞬間、蓋を持ち上げると、甘く温かな香りがふわりと立ちのぼります。
ポップコーンの焼ける匂いにも似た、どこか懐かしい芳しさ。
この香りの正体は「2-アセチル-1-ピロリン」という天然の芳香成分です。
ヒマラヤ山麓の冷涼な風と豊かな土壌が、この特別な香りを静かに育みます。
パスタと見紛う、細長い一粒
もうひとつの特徴は、粒の長さです。
日本米に慣れた方が初めて見ると、パスタに見えることもあるほど細長い米。
炊飯すると元の約二倍に伸び、一粒一粒がパラリと独立します。
日本米のもっちりとした粘りとは対照的な、軽やかでふわりとした口あたりです。
インドやパキスタンには日本米のような丸い品種も含め多種多様な米がありますが、
バースマティー種はその中でも香り米として格別の存在。
精米の段階ですでに折れやすいほど繊細で、
長いまま美しく精米された高品質の米は、輸出用として世界へ旅立ちます。
宮廷料理人の矜持
マシャールのビリヤーニーでは、米は一粒たりとも潰れてはなりません。
この細長い米を折らずに、食べるときも折れにくい状態で炊き上げる。
それ自体が、シェフの技術の証です。
スパイスと肉の層の間で、米が「呼吸」できる状態を保つこと。
それが宮廷料理における米の扱いの要諦です。
サフラン、カルダモン、ケウラウォーター。
繊細なスパイスの香りがバスマティーライスの一粒一粒に染み渡り、
蓋を開けた瞬間に立ちのぼる湯気には、
ムガル帝国の宮廷で王族が愛した薫りそのものが宿っています。
ビリヤーニーだけではない、もうひとつの主役
マシャールでは、ビリヤーニーではない白いバスマティーライスも人気をいただいています。
ホールスパイスとオイルを使い、カレーを引き立てる塩加減で炊き上げた一皿。パラパラとした食感の中に、ふわっとした柔らかさも共存する、絶妙な炊き加減です。
インド料理の定番といえばナーンですが、マシャールではバスマティーライスを選ばれるお客さまも多くいらっしゃいます。
ふっくらと炊かれた香り米でカレーをいただく──それもまた、宮廷料理ならではの贅沢です。
まずは一口、香りの世界へ
「いつものお米」とはまったく異なる、香りの世界。
今日のお昼に、その扉を開けてみませんか。
ビリヤーニーの蓋が開く瞬間、バスマティーライスの「覚醒」を、
きっと感じていただけるはずです。
ランチ 11:30〜15:00(L.O. 14:30)
ビリヤーニーランチ 1,700円〜(税込)|ビリヤーニー単品 3,200円(税込)
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